題名:AIに負けない子どもを育てる
著者:新井紀子
出版社:東洋経済新報社
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読んだきっかけ
前著の「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」という本が、Kindleで出ていたのでタイトルに惹かれて耳読していました。内容は、題名の通り、教科書の書いている意味を理解していないと言うこと、それを著者が開発したRTSと言う方法で証明したと言うこと、AIはフレームの中でしか答えを出せないというような話しでした。なんと中学生の半数が教科書に載っている短文を正確に読み取れていないという事実に、私もビックリしました。しかし、その本には、ではどうしたら良いのか??ということがほとんど記されておらず、モヤモヤしていたのです。
続編があることを知り、本書を購入して読み、その記録を記します。
自分なりのまとめ
本の内容の大半は、どれくらい読解力がないか、RTSはどういうものかと言う内容がほとんどだったと思われるため、興味のある部分だけを読んでいます。
読めるとは何だろう
「誰もが、誰かをねたんでいる」を同じ意味で受け身形に返るとどうなるか?という問いがあった。「誰もが、誰かからねたまれている」と私は思ったのですが、これは違っている。確かに後の解説を読むとなるほどと納得する。この意味がわかることが本当の意味で「読める」ということのようです。
AIはキーワードで文章を読む。現代の子どもも、黒板写しがなくなり、プリントの穴埋め教育により、キーワード検索的な読み方=AI読みをしているようです。
リーディングスキルテスト(RTS)を体験した結果
以下の7項目それぞれ4問で易、普通、難、超難で合計10点
①係り受け解析 → 10点
文の構造を正確に捉える能力。
6点がビジネスパーソンの平均。10点あるので安心のようです。
②照応解決 → 7点
照応先を正しく認識する能力。
③同義文判定 → 10点
二つの文が同じ意味かどうかを判定する能力。
ビジネスパーソンなら6点以上はほしい。
10点の人はAIに負けない力をもっていると自負して良い!(よっしゃ!)
④推論 → 10点
「Aが正しければBが正しい」「Bが正しければCが正しい」ということから
「Aが正しければCが正しい」と言うことを導き出す能力
ビジネスパーソンなら10点は取ってほしいところだそうです。
⑤イメージ同定 → 10点
文章で示されたことと図や絵が対応しているかどうかを見極める能力。
ここからは著者曰く、AIには未来永劫無理であろうと言っています。
正解を見せて解説しても意味がわからない場合は、教科書が読めて
いない可能性が大とのこと。
⑥具体例同定(辞書)→ 1点
⑦具体例同定(理数)→ 1点
定義文を理解し、具体的な例がその定義に当てはまるかどうかを判定する能力。
コレができていない状態で中学校に進学すると、中学校で行き詰まるそうです。
・・・まさに、完全に行き詰まりましたね。勉強の仕方もわからないし、
自分なりに勉強しても成績は伸びなかった記憶しかありません。
教科書が読めていなかったんですね。この点数には本当にショックでした。
総合判定としては、「真面目で優秀でそれなりに論理的」という結果でした。
安心はしましたが、1点はさすがにショックです。
読解力を養う授業の例で参考になったこと
- オセロのこまを黒3つ白3つを用意して、その実況中継をするというもの。正しく伝える力が身につく。
- 言葉の通り図形や絵を並べる。言葉の意味を理解する力を身につける。
- 前の人が言った言葉に、1つずつ言葉を増やしていって、文章を作る。例えば、虫がいます→畑に虫がいます→畑に緑色の虫がいます→畑の土に緑色の虫がいます のような感じです。文章の構造を理解する言葉遊び。
意味がわかって読む子どもに育てるために~やってみようと思ったこと~
幼児期のことも載っていましたが、我が家は小学生のため用学生に役立ちそうなもので
- 関心事に集中する時間を確保する。(幼児期)
- 書くことになれる。叱ったり、ドリルをやらせすぎて勉強への苦手意識を付けたり、自己肯定感を下げないように気をつける。
- 睡眠、食事、排便に気をつけ、ネットやゲームに依存しないようにする。
- 読書を推奨する。
- 勉強した部分の教科書を音読させる。
- ~を~という、というような定義文を音読させる。
- 親が知らない時間の出来事に興味を持ち、話しをよく聞く。(第三者に説明する力が身につく)
- 算数では割り算や分数、理科では月と地球と太陽のように「相対」の概念が出てくる。つまづいていないか観察し、日常生活でも「相対」意識させる体験をする。
- 暗記で良い点を取れた、論理的に考えるより人のマネをした方が良い点が取れるという成功体験を積み重ねないようにする。
- 記述問題の答えを間違えても、消しゴムで消さずに赤ペン出直す。自分の答えと模範解答の同義かどうかを考えさせる。
- 暗記やドリルに頼る、諦めやすい、試行錯誤を怖がる、グループで意見を言わないと言う状態は要注意。勉強に遅れているかもしれないので塾などの活用を検討する。
- 定義を理解しているかという問いをする。例えば、円周率はなにか?など。(大人でも難しい・・・)
- 日本列島の絵を書いて、どこに山脈があり、どこに川や平野があるかを書いてみる。なぜ平野や川ができるか、どんなメリットがあるかなどを解説させる。(大人でも難しい・・・)
- とても、すごい、~と思った、よかったを使わない文章をつくる。(大人でも難しい・・・このブログでも多用している・・・)
読んだと思っていたこの本。メルカリに出品したら売れたので、ぱらっと見たらまだ読めてなかった!!で慌てて読んだので、前著と同じような内容は読み飛ばし、大半を斜め読みしました。情報にあふれ、ネットサーフィンでニュースや気になる情報を斜め読み。じっくり意味を理解しようとせずキーワードだけを拾って思い込みで読んでいる、AI読みをしている日常なんだと思います。子ども達も、もっとちゃんと頭で考え、語彙を増やし、本当の意味で「読める」子になって欲しいと思うし、自分自信も、こういったアプトプットの際に第三者にわかるような文章を心がけたいと思いました。
10年先、私たちには想像もつかない世界になって言うと思います。AIが当たり前の子ども達の世代。目の前の勉強にとらわれず、10年20年先、大人になったときのことを考えて、今何が必要かを見極めていきたい。
今度、この本を読むことがあれば、もう少しじっくり読みたい。
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